農業×IT

農業でデータマイニング?

これまで、農業の分野では技術の継承や品質の向上には、主にアナログ的な手法が用いられていました。

近年では農業の分野でも、主に農業法人や大規模な個人農家の一部でIT化が進んでおり、様々な手法を用いてデータの収集が始まっています。北栄ドリーム農場でも設立当初から富士通(株)のAkisaiや人手によるデータ収集を行ってきました。しかし、データ収集後の分析をするのには時間がかかります。

日々の作業に追われる中で、まとまった時間を取ってデータ分析を行うのは農家にとって大変な負担です。

このため、せっかく収集したデータが活用されずに埋もれてしまう事がありました。

独自のデータ分析や関係各所の協力もあり、現在栽培している品種「紅ほっぺ」と鳥取県の気象条件などから「光合成促進装置」により大幅な収穫量の増加を見込める事が分かりました。

また、当初は様々な可能性を考慮して、CO2センサーと組み合わせた完全自動制御装置など周辺機器類も豊富に導入していました。しかし既にあるデータを用いれば精密な調整は不要である事から、一部はホームセンターなどでも購入出来る安価な機器に代替え。その他工夫により初期導入コストを大幅に抑え、定期的なメンテナンス費や大きな工事も不要になり、導入直後から利益が出るモデルを構築出来ました。

大きな投資は不要で、単純なシステムですから小規模な農家でも導入しやすく、また補助金などを待たずともすぐに利益を出す事が可能であり、地域の発展にも寄与するものと考えています。

併せて様々な実証実験を繰り返す事で、現在では光合成促進装置の施用前と比較して収穫量が20%、またはそれ以上向上する事となりました。収穫量だけでなく品質の向上にも寄与。これにより販売金額も増え、当社の収益に貢献しています。

※農作物は気象条件、病害虫など様々な影響があるため光合成促進装置だけの成果ではありませんが、この手法を用いた直後の第7期決算では前期比で売上高が29.7%向上。非常に大きな成果につながりました。

いちご栽培において一般的に使用されている「加温機」「LED照明」については、鳥取県の気象条件や紅ほっぺという品種の特性上、また燃料費の高騰などから、現時点で収益に大きなインパクトを与えるのは難しいという結果が出ていますが、施用方法を工夫するなどして更なるデータを蓄積していき、今後に繋げていければと考えています。

これまで熟練の技術により培われてきた手法とテクノロジーを融合した栽培方法のマニュアル化を進めそれらを展開する事で、ドリーム農場や地域のいちご農家が豊かに発展していく事を目指しています。

各ハウスに設置された、温度・湿度・CO2センサーです。

現在は、4棟のハウスに上記の環境センサーを設置し、ハウス内の環境を遠隔地から24時間監視しています。

また、機械室の屋上には気象センサーを設置しています。

この他にも、 「加温機」「電照LED」を一部のハウスに導入し、環境モニタリング設備と合わせて運用しています。
光合成促進装置

光合成促進装置を設置したハウスでは肥料の吸収が強まります。無施用のハウスと比較して適切に肥料濃度を上げる事で「なり疲れ」等を防ぐ事が出来る事も分かってきました。

ドリーム農場には25棟のいちご栽培用ハウスがありますが、2022年までに21棟が導入済みです。

実証実験データ(イメージ)

Akisai(秋彩)

以下はAkisaiでの運用イメージです。

運用イメージ1

 

運用イメージ2